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・ 長期的な経済成長に見合う給与システムという観点から給与構造の改訂案を勧告すること
・企業の能率・生産性を増加させるようなインセンティブ施策について助言すること
エ 給与勧告の推移
1972〜1985年給与アップについて率及び額により勧告
(勧告例)
1984年:
月額給与680S$未満の職員27S$プラス4.2%
月額給与680S$以上の職員8.2%
1986〜1987年:
給与改訂抑制。経済成長率を超える人件費の上昇により、シンガポール経済の国際競争力が低下してきたという認識のもと、給与上昇を抑制。
1988年〜:
具体的な給与改訂率や額ではなく、給与アップ率は生産性向上率を上回るべきではないとか、給与上昇は固定的な基本給だけでなく、変動可能なボーナスにより実施するべきであるとか、給与改訂の指針を文章により示す。この結果、シンガポール全体の給与における変動給与部分の割合が15.9%と大きくなってきている。全国給与評議会は変動部分の給与を全体の20%にすることを当面の目標、30%を最終目標としている。
?A全国給与評議会の勧告の公務における取扱い
全国給与評議会の勧告は、公務・民間ともに対象としており、政府によって認められると、労使交渉のべースになる。政府は一般的に、同評議会の勧告を受け入れ、同勧告に従って公務員の給与改訂を行ってきた。
近年、同評議会の勧告は具体的な数字を示さないので、政府は同勧告の指標に基づき、官民給与比較、離職率、空席率などを考慮して、改訂額を決定する。1996年の全国給与評議会の勧告に基づく給与改訂額は、以下のとおり。
Timescale基本給月額の1.62%+45S$
Superscale基本給月額の6.13%+45S$
?B官民給与比較の際の民間のデータは、シンガポール歳入庁の個人所得データを利用している。ただし、当該データは2年遅れて集計される。

 

(3)幹部職員の給与引上げ
シンガポールの経済成長に伴い、民間企業の幹部社員と政府の幹部職員との給与の乖離は大きくなり、このままでは政府に優秀な人材が集まりにくくなるとの問題意識があった。
そこで、以前は幹部職員には民間企業の給与との明確な比較基準はなかっ

 

 

 

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